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13日の外国為替市場は、1ドル=126円台をつけて、約20年ぶりの円安水準となりました。

背景にあるのは、日本とアメリカの金融政策の違いです。ウクライナ情勢の影響などで上昇する物価を抑えるため、アメリカが利上げを進める一方、日本は低金利政策を継続。この結果、円を売って、ドルを買う動きが進みました。

その動きに拍車をかけたのが、日銀の黒田総裁の発言です。
日銀・黒田東彦総裁:「経済・物価情勢を踏まえ、日本銀行としては、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けることで、感染症からの回復途上にある経済活動をしっかりと支え、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指していく」

低金利政策の継続を示唆した、この発言の直後、日米の金融政策の違いが改めて意識され、円相場は急落。126円台に突入しました。
鈴木財務大臣:「為替の安定は大切。特に急激な変化ということは大変に問題である。政府としても緊張感を持って、これからの為替の動向については注視していきたい」

円安はどこまで進むのでしょうか。気がかりなのは暮らしへの影響です。

世界各国のワインを取り揃えているお店では、円安で輸入コストに影響が出ているといいます。
ワインショップソムリエ・古澤慶太マネジャー:「(Q.どのくらいコストは上がった)ワインでいえば10%くらい上がってきている。こういう事態になるだろうと想定して、ストックを多くしている。在庫がある限り、高品質なワインを良心的な価格で提供する」

ただ、ウクライナ情勢や新型コロナウイルスも輸入コストに影響していて、先は見通せないといいます。
ワインショップソムリエ・古澤慶太マネジャー:「資材の高騰、円安が進んでいくのを考えると、予約販売に関しては、今年は慎重にならないといけない」

海外産のボリュームのある牛肉が売りのレストランも、ここまで価格を上げずに踏ん張ってきました。
ビストロブラウン・武田昌樹店長:「(仕入れ値は)先月で1.6倍ぐらいは高くなっているので、今後も、もしかしたら2倍になる可能性が高いかなと。夏ぐらいから、徐々にいろんな値上げもあると思うので、世の中の動向を見て、現状維持か、変えないといけないのか考えないといけない。まん延防止等重点措置が終わって、ようやくお客さんも外へ出て、ちょっと戻ってきてはいたけど」

◆元日本経済新聞の記者で、SNSなどでのわかりやすい解説が評判の経済ジャーナリスト・後藤達也さんに聞きます。

(Q.なぜ円安になっているのでしょうか)
最近の大きな要因は、ロシアのウクライナ侵攻です。これによってロシアの原油や小麦が出回らなくなる可能性があることから、エネルギー価格や穀物価格が大きく上昇しました。世界的にインフレ懸念が強まっていることが、為替市場に影響しています。

アメリカは、元々、物流の停滞や人出不足でインフレが深刻化していました。そこにロシア情勢が加わったことによって、インフレがさらに加速。3月分のインフレ率は年8%を超えていて、40年ぶりの厳しいインフレになっています。そこで、FRB=アメリカ中央銀行は、利上げを防ぐために、急ピッチで利上げを進めていくとしています。代表的な金利である10年物国債は2.8%で、3%に近付いています。この金利が、ドル高・円安の一つの大きな要因となっています。日本もインフレは忍び寄ってきていますが、アメリカほど深刻ではありません。その結果、日銀の黒田総裁が、金融緩和を粘り強く続ける発言。この方針で金利は0%にとどまっています。

為替レートというのは、多くの人がどちらの通貨を持ちたいかというところで決まってきます。そこの焦点となっているのが金利です。日本円を持っていても利息がつかない。一方、ドルを持っていたら3%の利息がつく。ここ1年ほどの間で、金利差が開いてきているので、より円を売って、ドルを買う流れが強まっているということが急激な円安の理由です。

(Q.円安は輸出には有利ですよね)
10年、15年前ですと、円安が進めば進むほど、日本経済にとってはプラスという見方が主流でした。例えば、トヨタに代表する輸出企業は、円安になれば、円建てでの収益が上がり、利益が出る。国内で製品を作っている場合は、輸出も増えて、結果、生産も雇用も増えるということで、国内で良い循環が働く。ところが、2010年ごろ、為替レートが70円、80円台という記録的な円高だったので、海外での現地生産に移すという動きが強まりました。すべてが現地に移ったわけではありませんが、最近、円安が進んでも必ずしも輸出が増えない。生産も増えない。雇用にも広がりがない。円安によるメリットが、10年、15年間に比べると、薄まってきているということはいえると思います。

全体としてみて、円安がプラスなのか、マイナスなのかは、いろいろな意見があります。誰を主語にするかによって変わってくると思います。ただ、10年前に比べてプラスの要素は弱まっているということは確かだと思います。

(Q.この円安を止めるためにできることはありますか)
一つは、政府が、円買い・ドル売りという介入をするのではないかと、一部ではささやかれています。かつて、円高局面では、円を売ってドルを買うという介入をしました。ただ、一時的な効果にとどまりました。為替マーケットというのは大量のお金が動いていますので、一時的に政府が動いても、大きな構造を転換できないということが多かったです。今回、介入をしたからといって効果は不透明です。

もう一つは、日銀が利上げをする。ただ、利上げというのは、景気に逆風になるものです。いろいろな経済活動を弱めてしまうので、円安を防いだとしても、景気を冷やしてしまうとなると非常にややこしい状況になってしまいます。円安に歯止めをかけるには、例えば、ロシア・ウクライナ情勢が良い方向に向かって、原油や穀物が値下がりするとか、アメリカの利上げがきいて、インフレが穏やかになってくるなど、海外頼みの状況でないと、いまの円安は、歯止めがかかりづらい状況になっていると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

https://news.foredooming.com/wp/wp-content/uploads/2022/04/2011262022413.jpghttps://news.foredooming.com/wp/wp-content/uploads/2022/04/2011262022413-225x150.jpgtsutomuANNnewsCH13日の外国為替市場は、1ドル=126円台をつけて、約20年ぶりの円安水準となりました。 背景にあるのは、日本とアメリカの金融政策の違いです。ウクライナ情勢の影響などで上昇する物価を抑えるため、アメリカが利上げを進める一方、日本は低金利政策を継続。この結果、円を売って、ドルを買う動きが進みました。 その動きに拍車をかけたのが、日銀の黒田総裁の発言です。 日銀・黒田東彦総裁:「経済・物価情勢を踏まえ、日本銀行としては、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けることで、感染症からの回復途上にある経済活動をしっかりと支え、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指していく」 低金利政策の継続を示唆した、この発言の直後、日米の金融政策の違いが改めて意識され、円相場は急落。126円台に突入しました。 鈴木財務大臣:「為替の安定は大切。特に急激な変化ということは大変に問題である。政府としても緊張感を持って、これからの為替の動向については注視していきたい」 円安はどこまで進むのでしょうか。気がかりなのは暮らしへの影響です。 世界各国のワインを取り揃えているお店では、円安で輸入コストに影響が出ているといいます。 ワインショップソムリエ・古澤慶太マネジャー:「(Q.どのくらいコストは上がった)ワインでいえば10%くらい上がってきている。こういう事態になるだろうと想定して、ストックを多くしている。在庫がある限り、高品質なワインを良心的な価格で提供する」 ただ、ウクライナ情勢や新型コロナウイルスも輸入コストに影響していて、先は見通せないといいます。 ワインショップソムリエ・古澤慶太マネジャー:「資材の高騰、円安が進んでいくのを考えると、予約販売に関しては、今年は慎重にならないといけない」 海外産のボリュームのある牛肉が売りのレストランも、ここまで価格を上げずに踏ん張ってきました。 ビストロブラウン・武田昌樹店長:「(仕入れ値は)先月で1.6倍ぐらいは高くなっているので、今後も、もしかしたら2倍になる可能性が高いかなと。夏ぐらいから、徐々にいろんな値上げもあると思うので、世の中の動向を見て、現状維持か、変えないといけないのか考えないといけない。まん延防止等重点措置が終わって、ようやくお客さんも外へ出て、ちょっと戻ってきてはいたけど」 ◆元日本経済新聞の記者で、SNSなどでのわかりやすい解説が評判の経済ジャーナリスト・後藤達也さんに聞きます。 (Q.なぜ円安になっているのでしょうか) 最近の大きな要因は、ロシアのウクライナ侵攻です。これによってロシアの原油や小麦が出回らなくなる可能性があることから、エネルギー価格や穀物価格が大きく上昇しました。世界的にインフレ懸念が強まっていることが、為替市場に影響しています。 アメリカは、元々、物流の停滞や人出不足でインフレが深刻化していました。そこにロシア情勢が加わったことによって、インフレがさらに加速。3月分のインフレ率は年8%を超えていて、40年ぶりの厳しいインフレになっています。そこで、FRB=アメリカ中央銀行は、利上げを防ぐために、急ピッチで利上げを進めていくとしています。代表的な金利である10年物国債は2.8%で、3%に近付いています。この金利が、ドル高・円安の一つの大きな要因となっています。日本もインフレは忍び寄ってきていますが、アメリカほど深刻ではありません。その結果、日銀の黒田総裁が、金融緩和を粘り強く続ける発言。この方針で金利は0%にとどまっています。 為替レートというのは、多くの人がどちらの通貨を持ちたいかというところで決まってきます。そこの焦点となっているのが金利です。日本円を持っていても利息がつかない。一方、ドルを持っていたら3%の利息がつく。ここ1年ほどの間で、金利差が開いてきているので、より円を売って、ドルを買う流れが強まっているということが急激な円安の理由です。 (Q.円安は輸出には有利ですよね) 10年、15年前ですと、円安が進めば進むほど、日本経済にとってはプラスという見方が主流でした。例えば、トヨタに代表する輸出企業は、円安になれば、円建てでの収益が上がり、利益が出る。国内で製品を作っている場合は、輸出も増えて、結果、生産も雇用も増えるということで、国内で良い循環が働く。ところが、2010年ごろ、為替レートが70円、80円台という記録的な円高だったので、海外での現地生産に移すという動きが強まりました。すべてが現地に移ったわけではありませんが、最近、円安が進んでも必ずしも輸出が増えない。生産も増えない。雇用にも広がりがない。円安によるメリットが、10年、15年間に比べると、薄まってきているということはいえると思います。 全体としてみて、円安がプラスなのか、マイナスなのかは、いろいろな意見があります。誰を主語にするかによって変わってくると思います。ただ、10年前に比べてプラスの要素は弱まっているということは確かだと思います。 (Q.この円安を止めるためにできることはありますか) 一つは、政府が、円買い・ドル売りという介入をするのではないかと、一部ではささやかれています。かつて、円高局面では、円を売ってドルを買うという介入をしました。ただ、一時的な効果にとどまりました。為替マーケットというのは大量のお金が動いていますので、一時的に政府が動いても、大きな構造を転換できないということが多かったです。今回、介入をしたからといって効果は不透明です。 もう一つは、日銀が利上げをする。ただ、利上げというのは、景気に逆風になるものです。いろいろな経済活動を弱めてしまうので、円安を防いだとしても、景気を冷やしてしまうとなると非常にややこしい状況になってしまいます。円安に歯止めをかけるには、例えば、ロシア・ウクライナ情勢が良い方向に向かって、原油や穀物が値下がりするとか、アメリカの利上げがきいて、インフレが穏やかになってくるなど、海外頼みの状況でないと、いまの円安は、歯止めがかかりづらい状況になっていると思います。 https://news.tv-asahi.co.jpニュース動画をコンテンツごとにわかりやすくまとめた国内最大級のサイトです。